子育ての大誤解

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ジュディス・リッチ・ハリス
1938年~2018年 アメリカ合衆国の心理学者

ハリスの最も有名な業績は、1998年に出版された『子育ての大誤解』である。
ずいぶん衝撃的な主張であり
多くの批判を受け
物議をかもしたのは当然のことでした。

私がなぜ本書を取り上げたかというと
これまで様々なご家庭とかかわり
同じように思うことが多いからです。

 

ハリスの最も革新的な考え方は、家族の外に注目し、
子どもの人格を形成する重要な要因としてピアグループを挙げた点である。
例えば、移民の子どもは容易に彼らの祖国(彼らの親の祖国ではなくて)の言葉を覚え、
親のアクセントではなく仲間たちのアクセントで話す。
ハリスは、子どもは親よりも級友や遊び仲間を自分と同一視し、
ピアグループに適するように振る舞いを変え、
そしてこれが個人の人格形成に最終的な影響を与えると主張する。

同書はいくつかの指摘に反して、「両親は重要ではない」とは述べていない。
また深刻な虐待やネグレクトを弁護してもいない。
ハリスは、特に子どもの幼少期において、
親には子どもの仲間集団を選ぶ重要な役割があると指摘した。
そしてもちろん、両親は家庭環境と親子の人間関係を通して子どもに影響を与える。

『子育ての大誤解』は様々な評価を受けた。
神経学者サポルスキーは彼女の本が「堅い科学に基づいている(実証主義的である)」と述べている。
スティーブン・ピンカーは本書が「心理学史において転換点と見なされるようになるだろう」と予測する。
しかしテンプル大学のフランク・ファーリーはこう述べる。
「彼女は限られたデータに基づいて、極端な立場に立っている。
彼女の理論は不条理で、もし親がこの馬鹿げた考えを信じたら何が起こるか考えてみよ」。
カーネル大学のウェンディ・ウィリアムズはこう主張する。
「両親が子どもの認知能力と振る舞いにどのような影響を与えられるかを示す良い研究が、たくさんたくさんある」。
ハーバード大学のジェローム・ケイガンは、
ハリスが「この本の結論と矛盾するいくつかの重要な事実を無視する」と指摘している。

この革新的な発達理論を提唱したハリス氏は、
“サイコロジカル・レビュー”という世界最高峰の心理学の理論誌に
「小さなころ親の育て方が子どもの知能や性格を決める、というのは間違いである」ことを発表しました。

数多くの遺伝学・心理学などの研究を網羅しているハリス氏は、
子どもの発達には、“遺伝”と“環境”という要素があるが、
この“環境”というのは、親のことではなくて仲間集団のことであると主張したのです。

実は、ハリス氏自身が1人目の養子と2人目の実子の母親でした。
そして、養子の第1子が育てにくい性格であることを、
親戚から“育て方のせい”であると責められた経験がありました。

しかし「親が同じように育てようと頑張っても、
子どもはそれぞれもともとの性格が違って、
同じようには育たないし、育てられないんだ」という
心の叫びのような思いがあったのです。

面白いのが、お子さんを3人以上育てたママや
若い保育学生は納得してくれるのですが
1人目の子育ての30代後半以降の母親に納得してもらうのは
かなり難しいことです。

だから、教育熱心な親が、より早くから教育を始めようが、
〇〇式をさせようが、その子の遺伝的な性格や知能を変える根拠はないのです。
完璧などは目指さなくていい

親のできることは、子どもが伸びていけるための土台を作って、
そして、子どもが自分の素質をのばしていくための環境や友達に出会えることを祈ることだけなのかもしれません。

何が子どもの成長に影響を与えているのかというと、
子どもの社会化がなされるのは、彼らが属する集団である
とする集団社会化説を挙げています。

従来のいたって単純な「子育て神話」よりは信憑性があります。
どちらかと言えば、集団社会化説のほうが科学的根拠に基づいています。
とは言っても、親の育て方がまったく影響がないということではありません。

育児ノイローゼになる親や子育てに重責を感じる親が
少しでも減ることを願っています。

 

本書中には興味深いトピックがありました。

  • 自閉症の子どもが相手の視線がコミュニケーションの手段であると言うことに気付かないという
    「マインドブラインドネス」
  • 2つ以上の文化に属する子供はそれらの間を行ったり来たりする「コードスイッチング」を行う。
  • 人間とチンパンジーの子供を一緒に育てると、人間の方がチンパンジーに似てくる。
  • 子供と大人の間のカテゴリー(ティーンエイジャー、ヤングアダルトなど)が生まれたのは歴史上に見てつい最近のことである。
  • 反喫煙広告についての著者のアイディア:喫煙は大人がティーンエイジャーに対して企んだ策略であることを宣伝する。

 

 

 

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